抄録
カテコラミン感受性多形性心室頻拍(CPVT)は遺伝性の不整脈症候群であり,現在までにいくつかの原因遺伝子が明らかとなっている.遺伝子変異がもたらすCPVTの共通した機序として,筋小胞体に存在するリアノジンレセプターからの異常なカルシウムイオンの放出が知られている.臨床的には,器質的心疾患によらない運動や感情の高まりによって誘発される動悸や失神が特徴である.幼少時に発症することが最も多く,平均初発年齢は7~9歳である.心房細動や心室不整脈が高頻度でみられるが,一拍ごとにQRSの軸が180°変化する二方向性心室頻拍が最も特徴的である.交感神経活性によって誘発される心室頻拍は心室細動へ移行することがあり,心停止が初発症状である症例もしばしば見受けられる.診断には安静時心電図は役に立たず,画像診断による器質的心疾患の除外と,運動やストレスによる不整脈の評価が重要である.治療にはβ遮断薬やフレカイニドが用いられる.ICDは心停止歴のある症例やβ遮断薬が不整脈の抑制に不十分な症例で適応となるが,突然死の予防効果は不完全である.