心電図
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第31回日本心電学会学術集会 学術諮問委員会提言シンポジウムより 遺伝性不整脈の治療戦略
小児科領域の遺伝性不整脈
住友 直方
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2015 年 35 巻 2 号 p. 77-85

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抄録
遺伝性不整脈は,年齢により死亡率が異なる.QT延長症候群1〔LQT1(G189R)〕では1~19歳の死亡率が高く,特に10~19歳の死亡率が高い.QT延長症候群2〔LQT2(Y99S)〕では15歳から死亡率が高くなり,30~39歳で最高値を示し,QT延長症候群3〔LQT3(I1768V)〕では15~19歳で死亡率が最も高い.SCN5A overlap症候群(1795ins D)では10~14歳で,カテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)(R420W in RYR2)では20~29歳で,Brugada症候群では40~59歳で死亡率が最も高い.QT延長症候群は学校での適切な運動制限が不可欠であり,薬剤に対するコンプライアンスの低下にも注意が必要である.CPVTは小児期での発症例は予後が不良であり,運動制限や適切な薬剤の使用による治療管理が重要である.SCN5A overlap症候群の発症例は少ないが,発見された場合には,適切な管理を行うことが必要である.進行性心臓伝導障害例では薬物療法の有効性が低いため早期に発見し,ペースメーカやICD植込みなどの検討を要する.Brugada症候群は学校検診で発見されるもの,心房頻拍・心室頻拍などの発症により発見されるものがあるが,いまだ症例が少なく,どのような時期にどのような治療が必要であるかは,今後の検討を要する.
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© 2015 一般社団法人日本不整脈心電学会
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