2021 年 77 巻 2 号 p. II_16-II_22
山岳トンネル工事における肌落ち・落石等による死傷災害の防止対策のために,切羽の変状を面的かつ非接触で捉えることが可能なミリ波高速イメージングレーダーに着目し開発を行っている.
本報では,切羽の肌落ち・落石等の前兆を,削孔作業等に伴う切羽表面の微小な動きや振動数の変化と考え,それらが同レーダーで捉える可能性を,パネル試験体を用いた基本試験および分布振動試験を通じて検証した.次に,トンネル切羽に対し同レーダーを適用する際に,得られた計測値を切羽に対して投影する際の座標変換における課題を示し,その対策として簡易的な変換法を提案した.これらの一連の成果を,実トンネルにおける計測実験を通じて検証した.