2020 年 40 巻 4 号 p. 197-206
心不全は不整脈原性右室心筋症(ARVC)における重要な死因の一つであり,本研究の目的はARVCにおける心不全の臨床的特徴とその危険因子を明らかにすることである.対象は113例のARVC患者(男性85例,平均年齢44±15歳)で,中央値10年の観察期間中29人(26%)に心不全入院を認めた.心不全入院ありの群は認めなかった群に比べ心死亡率は約10倍であり(48% vs. 4.7%,p<0.0001),左室・右室駆出率が有意に低く(左室駆出率,45±15 vs. 54±13%,p=0.001;右室駆出率,26±10 vs. 33±11%,p=0.003),I度房室ブロックおよびイプシロン波を有意に高率に認めた(I度房室ブロック,48% vs. 13%,p=0.0001;イプシロン波,34% vs. 14%,p=0.02).多変量解析ではI度房室ブロックが独立した心不全入院の危険因子であった(ハザード比4.24,p=0.0011).以上の結果から,ARVC患者において心不全入院は臨床経過の増悪と関連し,I度房室ブロックが重要な危険因子であることが示された.