2022 年 42 巻 2 号 p. 63-72
心房細動中の心拍数は個人差が大きく,その規定因子は房室結節の伝導特性や自律神経系の関与が報告されているが,その他の因子については解明されていない.今回われわれは持続性心房細動のカテーテルアブレーションを行った患者を対象とし,心房細動患者の心拍数に関与する遺伝的要因について検討した.ゲノムワイド関連解析で報告された洞調律中の心拍数との関連を認めた21の遺伝子多型とホルター心電図で得られた24時間総心拍数を調査したところ,ギャップジャンクションの構成蛋白であるコネキシン43をコードするGJA1遺伝子多型(rs1015451)マイナーCアレルが独立した心房細動における心拍数上昇因子であることがわかった.また,GJA1遺伝子多型マイナーCアレルを有する症例は心房内伝導速度が速く,心房細動の周期長が短いこともわかった.GJA1遺伝子多型(rs1015451)は難治性頻脈性心房細動を予測する,新たな遺伝子マーカーとなる可能性がある.