2025 年 45 巻 3 号 p. 171-186
T波の要因に関する従来の基礎研究を概説することを試みた.T波の成因に関する実験研究やシミュレーション結果から,T波は心興奮過程と心筋内活動電位持続時間の分布により規定されると考えられている.正常の陽性T波出現には,心筋内活動電位のtransmural gradientやapico-basal gradientが主なる原因と推定され,このことは心筋局所不応期,心筋表面からの単相活動電位や膜活動電位記録によって証明されてきたことを解説する.また,M細胞が存在すると仮定すると,transmural gradientはどう考えたらよいのか?加えて活動電位較差の発生に関する再分極特性として,電気緊張電位や異方伝導の役割について解説を行った.最後にT波はその要因より一次性と二次性のT波に分類できることに触れた.