抄録
AHブロック5例, His束内ブロック12例, Hvブロック13例に対して心房ペーシングを施行し, それぞれのブロック部位における最小房室伝導比と房室ブロックのパターンを比較検討した.AH, HVブロック例に比しHis束内ブロック例の房室伝導比は多様1生を示し, 特に頻拍依存型発作性房室ブロックはHis束内のみに4例みられた.この特殊な房室ブロックの症例を呈示し, 発現機序や臨床について考察を加えた.またこの特殊房室ブロックには, 従来いわれてきたMobitzII型房室ブロックに加えて, Wenckebach型房室ブロックも先行しうることが示された.今回の症例の心房ペーシングの成績から, これまで報告されてきた以上に, 一般的にHis束以下のWenckebach型房室ブロックが存在しうる可能性が示された.