心電図
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4. 発作性心房細動の発生に関する臨床的検討
―平均加算心電図法を用いて―
山口 巖鈴木 博之神谷 英樹渡辺 重行前田 裕史栗原 達杉下 靖郎伊藤 巖
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1990 年 10 巻 3 号 p. 283-292

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抄録
加算平均心電図法 (SAE) による遅延電位の検出は心室頻拍発生の予知に有用であるが, 心房性不整脈に関する報告は少ない.本研究では発作性心房細動 (PAF) の既往歴がない22例 (I群) , PAFの既往歴を有する徐脈頻脈症候群16例 (II群) , およびidiopathic PAF20例 (III群) のSAEの心房電位からPAFの予知について検討した.
SAEの心房電位のうちで最大棘波から1μV以上2μV未満の最後の棘波までの間隔 (C) と, 最大棘波から2μV以上の最後の棘波までの間隔 (D) の測定において, C値とD値の一致が, 1群には10例 (45.4%) に認められたが, IIおよびIII群では1例を除いて全例がC>Dを示し, C値とD値の差は, II群の9例 (56.3%) とIII群の12例 (60.0%) が1群の最大値20ms以上を示し, II群 (21.9±16.5ms) とIII群 (25.3±16.9ms) は1群 (7.3±7.5ms) より有意に長かった (いずれもP<0.01) .SAEによる“心房遅延電位”の検出はPAFの予知に有用と考えられた.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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