心電図
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心電図逆問題解法の空間分解能の実験的検討
青木 隆夫田中 博平柳 要濱田 泰一馬場 一憲古川 俊之
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1990 年 10 巻 4 号 p. 435-444

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抄録

心電図逆問題解法の推定精度と空間分解能を実験的に検討した.実験には犬冠灌流摘出心と円筒型胴体モデルを用い, 心内膜側に単一の, 心外膜側には単一および任意の間隔で2ヵ所に凍結傷害部位を作成した.胴体モデル表面電位から心外膜ST電位を推定し, 相関係数と傷害部位の再現性から精度と分解能を評価した.本解法は無限媒体電位を球関数展開し, これに立体角法で近似した胴体モデルの境界効果を加え心外膜電位を決定する.結果は, (1) 心内膜側傷害によるST下降電位の推定精度は平均相関係数でr=0.596, 傷害部位の推定誤差は0.9cm, (2) 心外膜側傷害によるST上昇電位の推定精度はr=0.767, 推定傷害部位は実測と一致し, (3) 本逆問題解法の空間分解能は2.5cmであった.本解法は心筋傷害部位の推定に十分な精度と分解能を有するため, 局所的電気異常部位の推定には有効な診断情報を提供できるものと考えられる.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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