心電図
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トレッドミル負荷試験より求めたDP-ST直線, 角度による狭心症治療方法の効果判定
鈴木 恵子戸山 靖一
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1990 年 10 巻 4 号 p. 469-476

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抄録

虚血性心疾患の治療に用いられているCABG, PTCAおよび抗狭心症薬の検討にトレッドミル負荷試験によるSTの改善, 運動耐容時間の延長の有無などが調べられている.著者らは, さきにトレッドミル負荷試験におけるDPとSTの関係をもとに求めたDP-ST直線, 角度を用い, その効果を調べた.CABG手術例では, 術前のDP-ST角度の平均値は-25.8°と傾斜は小さいが, 術後は-64.4°と傾斜は大となり, 明らかに心筋酸素消費量と供給の不均衡が改善されていることがわかる.PTCAではCABGに近い改善例も認め, 角度の平均値でみると改善の傾向はあるが, CABGに比べると程度は軽い.一方Nicorandil単独投与例を除くβ遮断薬, Ca拮抗薬, 持続性硝酸薬では, この角度は投薬前後でほとんど変わらず, これらの抗狭心症薬はCABGのように心筋酸素消費と供給の不均衡を本質的に改善するとはいえない点注意すべきであろう.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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