心電図
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急性心筋梗塞後のQT時間と陰性T波の変動に関する臨床的検討
本間 友基
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1990 年 10 巻 6 号 p. 783-796

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抄録
発症後36時間以内に入院し, 8週間経過を観察し得た急性心筋梗塞 (AMI) 109 (前壁66, 下壁43) 例につき経時的に心電図を記録し, 梗塞部誘導で, QTcと陰性T波 (NT) の深さを測定し, 梗塞部位, 心膜炎, 心室瘤, 冠動脈造影所見等の臨床像との関係を検討した.QTcはNTと密接な相関を示し, ともに発症後48時間後にpeak (T1) を認め, 5~8日で正常化 (T2) し, 3週後に再びpeak (T3) を示した後漸減し, 8週 (T4) にいたり, 四つの時相に分けられた.T1, T3期では梗塞範囲が狭く, 心室瘤を合併しない例で, QT延長と深いNTを示し, T1期のpeak時間は冠動脈が早期に再開通するほど早かった.T2期では梗塞範囲が広く炎症所見が強いほど, 早期にNTが消失しかつ消失期間も長かった.T4ではT1, T3とは逆に心室瘤を含む梗塞範囲が広い例や冠動脈の完全梗塞例でQT延長を認めた.AMI後のQT時間, 陰性T波は梗塞の治癒過程に伴い変動し, 梗塞範囲, 心室瘤, 冠動脈再開通様式を反映すると考えられた.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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