抄録
心筋の虚血後に再灌流すると重症不整脈が発生することが知られている.最近, この不整脈の発生にフリーラジカル (FR) の出現が関係していることが報告されている.本研究では不整脈の発生とFRによる心筋障害の関係, さらにFR消去剤の投与が有効かどうか検討した.ラット摘出心灌流モデルと麻酔下開胸モデルを用いて再灌流不整脈を観察した.再灌流に伴って左室圧, 心筋ATP, クレアチン燐酸は低下するがSOD剤の投与 (再灌流中) では差をみなかった.同様に不整脈 (心室頻拍, 心室細動) の発生頻度もSOD剤の投与で変化しなかった.しかし, SOD剤の投与は不整脈の持続時間の短縮や膜過酸化の軽減作用を認めた.麻酔下開胸モデルにおいても同様の結果を得たが, 半減期の長いMn-SOD剤の虚血前投与はより有効であった.以上の結果より再灌流不整脈の発生要因としてFRの発生は重要であり, これにより膜障害を来たし, さらに電気的興奮異常を招くと推測された.