脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
症例報告
拡散強調画像にて内包後脚に可逆性病変が認められた一過性低血糖性片麻痺の1症例
川原 一郎中本 守人松尾 義孝徳永 能治
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 32 巻 4 号 p. 401-405

詳細
抄録
症例は79歳女性で糖尿病のため内服治療中であり,自宅にて突然右片麻痺を発症し当院へ救急搬送となった.拡散強調画像では,左内包後脚に高信号域が認められ急性期脳梗塞が強く疑われたが,血糖値35 mg/dlと低値であったため,まず50%ブドウ糖を静注したところ右片麻痺は血糖値の正常化とともに速やかに改善した.24時間後に施行した拡散強調画像では,左内包後脚の高信号は完全に消失しており,経過より一過性の低血糖性片麻痺であると考えられた.近年,脳梗塞急性期における血栓溶解療法としてtPAが幅広く投与されるようになったが,巣症状を呈する救急患者の場合,一般的には脳卒中が強く疑われ,それに従い診断,治療が進められる.低血糖症により片麻痺を呈する場合は比較的稀ではあるが,急性期脳梗塞との鑑別は重要であり,血栓溶解療法を急ぐあまり,その診断において見落としがあってはならない.対策としては,来院後速やかに採血を行い血糖低下の有無を確認することは低血糖性片麻痺の診断上有用である.
著者関連情報
© 2010 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top