心電図
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心室頻拍におけるリエントリー回路への抗不整脈薬作用の定量的評価
相沢 義房船崎 俊一江部 克也庭野 慎一田村 真相沢 雅美池主 雅臣内藤 直木草野 頼子柴田 昭
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1991 年 11 巻 3 号 p. 249-257

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抄録

抗不整脈薬の心室頻拍 (VT) のリエントリー回路への定量的評価を8例で検討した.全例ともプロカインアミドの投与前後で同一のQRS波形のVTが誘発され, VT中のオーバードライブ・ペーシングでQRS波形に融合 (constant fusion) を認め, より短い周期でVTが停止した例である.VTを停止させる最長のペーシング周期をプロカインアミド投与前後で比較し, またVT周期とペーシング部位での有効不応期も投与前後で比較検討した.VT周期は314±49msecから391±49msecに, ペーシング部位での有効不応期は246±23msecから268±28msecへと有意に延長を示した (それぞれp<0.001とp<0.005) .VTを初めて停止させたペーシング周期は261±41msecから317±44msecへと延長を示した (p<0.001) .VTを停止させるペーシング周期はリエントリー回路内で1: 1伝導が不可能となる最長周期と考えられ, その変化はペーシング部位での有効不応期の変化より大であり, 両者の単純な比較には問題があるが, プロカインアミドはリエントリー回路により強く作用する可能性がある.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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