心電図
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いわゆる「仮装脚ブロック」例における刺激伝導系の病理組織学的研究
碓井 雅博大川 真一郎渡辺 千鶴子上田 慶二徳 文子伊藤 雄二杉浦 昌也
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1991 年 11 巻 3 号 p. 298-306

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抄録

1954年RichmanおよびWolffは心電図上肢誘導で左脚ブロック型, 胸部誘導で右脚ブロック型を呈するものを“masquerading”bundle branch block (仮装脚ブロック) と呼んだ.我々は心電図上第I誘導で幅広いRと小さなSを, 第II, III誘導で深く幅広いSを有し, 胸部誘導にて完全右脚ブロックを示す当センターでの剖検例6例 (男4, 女2, 75~93歳) を対象として臨床病理学検討を行った.臨床所見では, 胸部X線上全例に心拡大を認め, 心電図上5例に1度房室ブロックを認めた.病理所見では, 心重量が350g以上の肥大心は5例であり, 陳旧性心筋梗塞を3例 (後壁2, 側壁1) に認めた.刺激伝導系所見では, 右脚と左脚前枝の二束障害を2例に, 右脚と左脚前枝, 同後枝の三束障害を2例に認め, 左脚前枝と同後枝の二束障害が1例であった.
「仮装脚ブロック」の発生機序として, 1) 左脚の広範な障害, 2) 後側壁の心筋梗塞による修飾, 3) 著明な心肥大の影響が示唆された.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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