心電図
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9誘導ホルター法の試み―SPECTとの対比による心筋虚血検出精度
田辺 晃久吉岡 公一郎高橋 潔井出 満五島 雄一郎鈴木 豊
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1992 年 12 巻 1 号 p. 32-38

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抄録
市販の3チャンネル心電計に試作誘導切り替えアダプタを接続し, 9誘導ホルター法を可能とした (9-DCG) .虚血性心臓病患者72例 (男62例, 女10例, 年齢56±9歳) に運動負荷Tl-201シンチグラフィーを行い, SPEOT (single photon emissioncomput-edtomography) 解析から, 前壁, 下壁, 側壁虚血に分けた.また, 12誘導心電図法から選んだ6誘導 (6-EOO) を同時記録した.
72例中60例で6-ECCのいずれかの誘導でST下降を認めた.CM5誘導のV5のST下降検出感度, 特異度 (各々96%, 86%) , LB (背下部) 誘導のII誘導 (aVF) のST下降検出感度, 特異度 (各々81%, 91%) は特に高かった.前壁虚血検出では, 感度, 特異度とも高い誘導はなかった.感度, 特異度とも低い誘導はLB誘導であった.下壁虚血検出では, LB誘導は感度, 特異度とも高く (各々78%, 82%) 有意性があった (P<0.0001) .他の誘導で感度, 特異度とも高い誘導はなかった.側壁虚血検出では感度, 特異度とも高い誘導はなかったが, 他に虚血がなく側壁虚血のみ示した2例ではHL, LL誘導のみST下降を示した.また, 一般に前壁虚血で生じるST上昇はCM3 (またはCM2) 誘導で高頻度に捕捉する.
したがって, ホルター心電図法では少なくともCM5, CM3, LB, HL (またはLL) 誘導の計4誘導の選択が好ましいと考えられた.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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