抄録
狭心症患者の病態観察には患者の日常生活における行動と心電図変化の情報を知ることが重要である.そこで, 日常の各行動様式の情報を心電図と同時記録し解析できる行動様式入力型ホルター心電計を作成し, 本装置を用いて抗狭心症薬の薬効評価について検討した.日常の行動様式を8段階に分類, 各行動様式の最大ST降下度を測定し, TTS-NTG貼付前後の変化を比較した.立位軽作業 (3Mets) から走行・登坂 (8Mets) までの4段階の行動評価では, TTS-NTG貼付により各行動様式の最大ST降下度は有意に減少し, 本装置による評価法によりTTS-NTGの抗狭心症薬としての有用性が示された.本装置の狭心症患者への利点として, 薬効評価における治療前後による行動様式の不一致部分の除外, 体位変換によるSTの偽陽性変化の除外および効果的な生活指導ができることなどがある.