心電図
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冠動脈バイパス術例における心表面および体表面電位図による心筋viabilityの評価
松原 由朗渡辺 佳彦長谷川 義武吉田 哲三ツ口 文寛安保 泰宏中野 博近藤 武野村 雅則水野 康服部 良信杉村 修一郎
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1992 年 12 巻 2 号 p. 205-215

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抄録
冠動脈バイパス術 (OABG) 前後に心表面・体表面電位図を記録し, 心筋viabilityの評価を試みた.対象はCABGを施行した患者13例である.心表面電位図は43誘導のsockを用い, 体表面電位図は山田らの方法でCABG前後に記録した.虚血心筋領域を知るため, CABG前後に201Tl-心筋シンチグラフィ (MSG) を施行した.OABG前後のr波変化を検討した.心表面・体表面ともにCABG後r波が増高した3例と心表面でr波が増高し体表面で不変であった4例はMSGでも改善を認めた.心表面・体表面ともに不変の4例はMSGでも不変であった.心表面・体表面ともにr波減高した2例は, MSGでも悪化を認めた.MSGと電位図の対比から, CABG前の心表面単極誘導波形にてわずかでもr波があれば心筋viabilityが存在した.心表面電位図は体表面電位図からは得られにくい局所の微小電位を知ることができ, 心筋viabilityの判定が可能であった.したがってCABG前に心表面電位図記録が必要と思われる.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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