心電図
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加齢に伴う洞機能と自律神経機能
時田 二朗八木 洋上松瀬 勝男梶原 長雄
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1992 年 12 巻 6 号 p. 756-765

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抄録

洞機能正常例56例 (12~78歳) について加齢と洞機能および自律神経機能との関係を明らかにする目的で薬理学的自律神経遮断 (TAB) 前後で, 安静臥位時, 能動的坐位時に洞機能を測定した.TAB前では安静臥位時に比し能動的坐位時に洞周期 (SCL) , 全洞房伝導時間 (TSACT) , 修正洞結節回復時間 (CSRT) は有意に短縮し, 血漿ノルエピネフリン (NE) は有意に増加した.安静臥位ではTAB前に比しTAB後にSCL, TSACT, CSRTは有意に短縮した.内因性固有心拍数 (observed IHR) は力口齢と負の相関を示し, SCL, TSACT, CSRTはTAB前後とも加齢と正相関を示した.血漿NE測定, 体位変換法, TAB法にて評価した交感, 副交感神経活動度は加齢と有意な相関は認めなかった.以上のことより, 洞機能正常例における内因性洞機能 (洞自動能, 洞房伝導能) は加齢に伴い低下するが, 自律神経機能が正常に保持されるかぎり, 内因性洞機能の低下は代償され得ることが推察された.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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