心電図
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Ia群抗不整脈剤投与下における高位右房ペーシングによるcommon type心房粗動の停止様式の検討
尾家 伸之井上 智夫吉田 明弘土井 智文横山 光宏
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1992 年 12 巻 6 号 p. 772-780

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抄録

9例のcommon type心房粗動 (common AF) に右房内マッピングを行い, 反時計方向のリエントリーと中位側壁右房または低位側壁右房から冠静脈洞入口部の間の伝導遅延を認めた.Ia群抗不整脈剤 (Ia薬剤) の静注投与にて粗動の停止したのは1例のみで, 8例は投与後も粗動が持続したが, 粗動周期は有意に延長した.この8例においてIa薬剤の伝導抑制効果の伝導遅延を認めた部位に対する選択性は明らかではなかった.Ia薬剤投与後, 高位右房より高頻度ペーシングを施行すると粗動周期の平均67%のペーシング周期にて8例全例の粗動が停止した.8例中7例で粗動の停止部位は伝導遅延を認めた部位と一致しており, 停止直前の数拍においてこの部位の伝導時間のみがさらに延長していた.以上よりIa薬剤投与の高位右房ペーシングによるoommon AFの停止機序は伝導遅延部位における伝導途絶によるものと考えられた.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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