心電図
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肥大型心筋症におけるホルター心電図所見と心血行動態指標および心エコー図所見との対比―重回帰分析法および正準相関分析法による検討―
佐藤 伸之川村 祐一郎藤田 雅章岡本 清貴菅原 斉川嶋 栄司石井 良直山下 裕久飛世 克之小野寺 壮吉山村 晃太郎
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1992 年 12 巻 6 号 p. 781-788

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抄録

肥大型心筋症 (HCM) の不整脈発現に関与する因子を明らかにするため, HCM症例のホルター心電図所見と心血行動態諸指標および心エコー所見との関連性について検討した.対象はHCM症例40名で, 説明変数として心血行動態指標13項目, 心エコー所見4項目および心胸郭比を, 目的変数として, (1) 心房期外収縮数, (2) 心室期外収縮数, (3) 心室期外収縮連発数, (4) 心室頻拍数を用い, 4個の目的変数別の重回帰分析と正準相関分析を行った.個々の目的変数に強く関与する因子は, (1) では心室後壁厚, 肺動脈収縮期圧, 肺動脈楔入圧, (2) では心室中隔壁厚, 右室収縮期圧, 平均肺動脈圧, 心係数, (3) では肺動脈楔入圧, 心拍出量, 左室拡張期圧, (4) では右室拡張末期圧, 左室駆出率であった.以上より, HCMでは不整脈と心血行動態の重相関関係は有意であること, 不整脈の種類によって有意な偏回帰係数を示す指標は異なることが示され, 心血行動態因子が不整脈発現に関与する可能性が示唆された.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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