2025 年 81 巻 17 号 論文ID: 25-17102
2020年8月に三河湾の底層貧酸素が解消する現象が発生した.流動モデルを用いた再現計算の結果,密度流による外洋水の進入の影響が大きいことが示唆されたものの,外洋水の進入に伴う底層溶存酸素の解消過程の再現性には課題が残った.本研究では,外洋水の指標として塩分に着目し,データ同化を用いて伊勢湾と三河湾の6地点の水温・塩分の観測ブイのデータを取り込み,2020年8月の底層塩分の精度向上を図った.その結果,データ同化結果は同化を行わないシミュレーション結果に対して,三河湾1号ブイにおける底層塩分のRMSEが1.77から0.94となり精度向上が示された.これは三河湾内の観測データを用いた高頻度なデータ同化により,三河湾全域に同化による修正がされたためである.