心電図
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急性心筋梗塞時の再灌流および慢性期収縮機能の非観血的予測
―心電図QT間隔および陰性T波からの検討―
秋満 忠郁丹羽 裕子三好 博井上 健原 政英前田 利裕犀川 哲典坂田 利家
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1993 年 13 巻 3 号 p. 254-264

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抄録
再灌流療法を施行した急性心筋梗塞例の心電図を経時的に記録, 再灌流群と非再灌流群におけるQT間隔および陰性T波の経時的変化の違いを明らかにし, 梗塞責任冠動脈再灌流の有無および慢性期心機能を非観血的に判定できるか否かを検討した.再灌流群では非再灌流群に比し梗塞発症後早期にQT間隔が延長し, 陰性T波が出現した.また発症1ヵ月後のQT間隔は, 非再灌流群が再灌流群に比し有意に延長していた.梗塞発症後24時間以内の10%以上のQTc間隔延長または-0.1mV以上の陰性T波出現を再灌流の指標としたときの感度, 特異度はそれぞれ95%, 73%と80%, 91%であり, 心筋梗塞発症後早期のQT間隔延長および陰性T波出現は梗塞責任冠動脈再灌流の非観血的指標になりうると考えられた.また, 1ヵ月後のQT間隔は前壁梗塞において慢性期左室駆出率と有意な相関を認め, 慢性期のQT間隔は慢性期左室収縮機能の指標として臨床的に有用であると考えられた.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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