心電図
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I群薬の心房細動に対する除細動効果と心房の電気生理学的特徴, 洞調律維持の関係
藤木 明
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1994 年 14 巻 2 号 p. 89-92

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抄録

I群抗不整脈薬の除細動効果の電気生理学的機序を明らかにする目的で, 心房細動に対する除細動効果を器質的心疾患を有しない36例を対象に検討した.除細動された23例 (64%) を除細動 (+) 群として除細動 (-) 群との間の特徴を比較した.年齢, 性, 発作頻度, 左房径, 洞不全症候群の頻度には両群間で差がなかったが, 心房早期刺激による反復性心房応答 (1秒以上の持続) の誘発は, 除細動 (+) 群で15例 (65%) と除細動 (-) 群3例 (23%) より有意に高率であった.心房有効不応期は除細動 (+) 群で215±30msec (Mean±SD) と除細動 (-) 群の238±25msecより有意に短縮し, またI群薬は短縮した不応期を有意に延長した.平均30カ月の長期経過観察で除細動 (+) 群の5例 (22%) と除細動 (-) の2例 (15%) が慢性心房細動に移行した.I群薬の除細動効果は心房不応期の短縮した心房受攻性亢進例で高く, 発生要因との関連が示唆された.また除細動効果の有無から心房細動の慢性化は必ずしも予測できなかった.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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