心電図
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カテーテルアブレーションが有効であった洞機能異常を伴うWPW症候群の1例
有賀 雅和片桐 有一佐々木 康之須山 和弘酒井 龍一沢木 章二椎名 裕之古田 精市長崎 正明
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1997 年 17 巻 1 号 p. 70-77

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抄録

症例は66歳女性.17歳の第1子出産時に初めて動悸発作を自覚.S56年心電図にてWPW症候群と診断され近医にてジソピラミドの投与を受けるようになったが, 発作頻度は不変で緊急外来を受診し治療を受けていた.H4年12月頃より発作頻度が増加し徐脈も出現するようになった.ホルター心電図では5970msecの洞停止を認め, ジソピラミドの副作用が疑われ減量されたが改善せず, 精査加療目的でH5年5月当科入院.電気生理学的検査では右室側壁に副伝導路を認め, 同部位に対して高周波通電を施行し副伝導路の焼灼に成功した.以後, 抗不整脈薬の内服なしで頻脈性不整脈も徐脈性不整脈も認められなくなった.洞機能異常を伴ったWPW症候群の場合, 房室回帰性頻拍に対して抗不整脈薬の投与を行うと, その副作用により徐脈性不整脈の頻度が増加する.この様な症例に対して高周波力テーテルアブレーションは有効な治療方法と思われた.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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