1998 年 18 巻 2 号 p. 172-178
心房細動により生じる心房筋の電気的リモデリングの生化学的な側面を知る目的で, ラット心房を用いて高頻度心房刺激が電位依存性力リウムチャネルのmRNAレベルにおよぼす影響, 及びその電気生理学的影響につき検討した.高頻度心房刺激は刺激開始後2時間という早期から, Kv1.5チャネルのmRNAレベルを顕著に増加させると同時に, Kv4.2mRNAを減少させた.同時に高頻度刺激後24時間を経た単離心房筋では一過性外向き電流の減少と持続性電流の増加傾向を認め, mRNAレベルの変化に呼応する変化と考えられた.このように, 心房高頻度興奮が早期から電位依存性カリウムチャネル遺伝子発現を修飾することが心房細動の電気的リモデリングの一生化学的側面をなすと考えられた.