心電図
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心臓のATP感受性K+チャネルの構造と機能
山田 充彦倉智 嘉久
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1999 年 19 巻 2 号 p. 111-119

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抄録

心筋細胞のATP感受性K+ (KATP) チャネルは, 細胞内ATPにより抑制される内向き整流K+チャネルであり, 虚血時に開口して心筋収縮力を抑制すると考えられている.最近このチャネルが, ABO蛋白質の―種のスルフォニルユレア受容体2A (SUR2A) と2回膜貫通型K+チャネルサブユニット (Kir6.2) の複合体である可能性が示唆された.そこでSUR2AとKir6.2をHEKX93T細胞株に共発現し, その特性をパッチクランプ法で検討した.SUR2A/Kir6.2チャネルは, インサイドアウトパッチ構成時に自然開口する弱い内向き整流K+チャネルで, その単一電流コンダクタンスは約80pSであった (細胞外K+=150mM) .細胞内ATPは, Mg2+の存非にかかわらず, 約150μMの1C50で自然開口を抑制した.UDPはランダウン後のチャネルを活性化した.この場合UDPはATPの抑制効果に拮抗しなかったが, ランダウン前に投与されると拮抗作用を示した.K+チャネル開口薬のSUR2A/Kir6.2チャネルに対する親和性は, ピナシジル>ニコランジルであり, ジアゾキサイドはほとんど無効であった.したがって, 心筋型KATPチャネルはSUR2AとKir6.2で構成されると考えてほぼ間違いないと思われた.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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