1999 年 19 巻 2 号 p. 120-124
スルポニルウレア剤やK+チャネル開口薬のATP感受性K+ (KATP) チャネルに対する作用は, チャネルのサブユニットであるスルポニルウレア受容体 (SUR) によって制御されていると考えられている.本研究では, 心筋KATPチャネルの機能的なSURを同定するため, 新生児ラット心室筋細胞を培養し, SURのmRNAに対するアンチセンスオリゴ (AS-SUR) を6日間処置し, KATPチャネルへの影響をパッチクランプ法にて検討した.SUR1, SUR2に対するアンチセンス (AS-SUR1, AS-SUR2) ならびに各々に対するスクランブル配列のオリゴを用いた.代謝阻害により誘発された (0mVにおける) KATPチャネル電流は, 無処置群 (Ctrl) では48.9±2.8pA/pF (n=48) であったが, AS-SUR1ならびにAS-SUR2処置により各々34.3±3.5pA/pF (n=21) , 23.5±3.4pA/pF (n=17) に減少した (: P<0.05, : P<0.01vsCtrl) .対照として用いたスクランブル配列のオリゴはKATPチャネル電流量に影響しなかった.したがって, ラット新生児心室筋のKATPチャネルでは, 心筋タイプとされるSUR2のみならず, SUR1もチャネルの構成成分として機能していることが示唆された.