心電図
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ジギタリスによる虚血プレコンディショニング修飾の機序―細胞膜ATP感受性カリウム・チャネルの機能的連関―
堀江 稔春名 徹也河野 裕吉田 秀忠胡内 一郎縄田 隆三村上 知行篠山 重威
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2000 年 20 巻 2 号 p. 112-119

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抄録
ジギタリスは, 細胞膜Na/K-ATPase活性を阻害するが, 先に我々は, ジゴキシンが, 家兎梗塞モデルで観察される虚血プレコンディショニング (以下IPC) を阻害することを観察した.また, IPCを誘発するために行う5分間の冠動脈結紮は, その後のNa/K-ATPase活性のdown-regulationを有意に抑制することを報告した.一方, ATP感受性Kチヤネル (以下KATPチャネル) は, このIPCの発生機序におけるfinal common pathwayとして働くと考えられている.さらに, ジゴキシンのIPC阻害はKATPチャネル開口薬のcromakalimによりブロックされることが判明した.KATPチャネル活性を高めることによりIPC阻害が, 消失したことはNa/K-ATPaseとKATPチャネルの間になんらかの機能的な連関があることを示唆する, すなわち, Na/K-ATPase活性がIPC時に保たれることから, ポンプによる細胞膜直下fuzzy spaceのATPが消費され, そのレベルが低下することによりKATPチャネルが活性化する可能性が考えられた.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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