心電図
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心筋梗塞患者におけるT-wave alternans: 臨床像および心電図学的特徴
坂田 隆夫池田 隆徳杉 薫山口 徹
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2000 年 20 巻 6 号 p. 607-618

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抄録

【目的】心筋梗塞 (Ml) 患者206例において, TWA陽性例の臨床像および心電図学的特徴について評価した.【方法】CH2000を用いて背臥位運動負荷中にTWAを測定した.フランク誘導あるいは隣接する2つの胸部誘導において, 心拍数を105~120/分に維持した状態でalternansratio>3.0, かつalternansvoltage>1.9μVを1分以上満たした場合をTWA陽1生とした.【結果】TWAは判定不能18例を除く188例中105例 (56%) 例で陽性を示した, 各因子 (年齢, 性別, 運動負荷量左室駆出率, 異常Q波, T波陰転, 異常Q波例に伴うT波陰転, 冠動脈残存狭窄かつ負荷中のST低下, 左室壁運動異常, 冠動脈病変本数, 発症時期の違い, 心室性不整脈) とTWAとの関連を評価したところ, 左室駆出率低下 (P=0.0007) , 異常Q波 (P=0.01) , 高度の壁運動異常 (P=0.003) , 広範囲梗塞 (P=0.004) を認める例でTWA陽性が有意に多かった, 心室性不整脈 (持続性心室頻拍/細動) についてはTWA陽性と陰性の間で有意な差は認められなかったが, 抗不整脈薬使用例を除外した評価では, その発生例でTWA陽性が有意に多かった (P=0.008) .各因子の多変量解析では, 異常Q波例 (P=0, 04) と梗塞発症1カ月以上経過した例 (P=0.004) でTWA陽性との関連が認められた.【総括】TWAは, 完成された梗塞巣が存在する低左心機能症例において陽1生となりやすく, 抗不整脈薬の使用を除外すれば心室性不整脈の予測指標になると考えられた.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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