【背景】迷走神経興奮は発作性心房細動 (PAF) の誘発や維持に影響を与えるが, より慢性期の心房細動 (AF) において果たす役割については不明である, 【目的】心房の電気的リモデリング過程において, 迷走神経緊張が心房不応期 (ERP) やAF誘発性に与える影響をムスカリン受容体遮断薬を用いて検討した.【方法】雑種成犬8頭に400PPmの高頻度心房刺激を14日間加えた.刺激開始前 (PO) , 刺激開始2 (P2) , 7 (P7) , 14 (P14) 日目において, ERPおよびAF誘発性を, 硫酸アトロピン0.04mg/kg静注前後で検討した.【結果】ERPはP2以後有意に短縮し (p<0.05) , AF誘発性も経時的に増加した.迷走神経遮断により, ERPは有意に延長し, その効果はP14まで保たれ (p<0.05) , またAF誘発1生も低下した (p<0.05) .【総括】電気的リモデリングを受けた心房筋においても, 迷走神経緊張がAF誘発性に関与していた.抗コリン薬が, 持続性AF例においても抗不整脈作用を発揮する可能性が示唆された.