心電図
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Bachmann束ペーシングの心房内伝導時間に対する効果―心房加算平均心電図による比較検討―
正木 理子渡辺 一郎小島 利明押川 直廣杉村 秀三大久保 公恵笠巻 祐二斎藤 穎小沢 友紀雄上松瀬 勝男
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2000 年 20 巻 6 号 p. 635-642

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抄録

難治性の発作性心房細動 (Paf) を予防する方法として, 両心房を同時に興奮させ, 心房内伝導時間 (TACT) を短縮させることの有用性が報告されている.我々は心房内の異なる部位でペーシングを施行した際の心房内電位記録によるTACTおよび体表面心房加算平均心電図 (P-SAECG) によるfilteredPduration (FPD) を記録し, Bachmann束 (BB) ペーシングがIACTおよびFPDに及ぼす影響を比較検討した.【対象および方法】器質的心疾患のない上室性不整脈10症例を対象とし, 右心耳 (RAA) , BB, 冠静脈洞入口部 (CSos) および遠位部 (CSd) さらに4症例ではRAA+CSdペーシングを施行した際のIACTを測定し, 同時に, FPDを計測した.【結果】IACTおよびFPDは, biatrialペーシング時に最も短縮し, singlesiteペーシングではBBペーシング時に最も短縮した.なお, 標準12誘導心電図では心房ペーシング時のP波の幅の正確な計測は困難であった.【結語】P-SAECG法を用いたFPDの測定より, 多数の心腔内電位を記録することなくIACTを最短にし得る部位の決定が可能である.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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