抄録
梗塞犬でα作用を順次増強し不整脈発生ならびに心室筋の伝導, 再分極への影響とその変化に対するK+チャネル遮断薬の効果を検討した.ビーグル犬を麻酔, 人工呼吸下に左冠動脈前下行枝を結紮6時間後に単相性活動電位 (MAP) と局所電位の記録, 血圧測定を開始した.β受容体とムスカリン受容体 (M2受容体) の非遮断下 (第1群) と遮断下 (第2群) での心臓交感神経刺激は刺激強度3mA, 6mA, で心室期外収縮 (VPC) 数の増加傾向を認めた (p<0, 1) .フエニレフリン (Phen) 10, 20, 30μg/kg血行内投与はVPC数を有意に増加させた (p<0.05~0.01) .第2群では6mA刺激で正常域 (NZ) のMAP90短縮が大であったためNZ-BZ (境界域) 間に差を生じた (p<0.05) .PhenはAT (左室刺激からMAPの立ち上がりまで) とVAT (局所電位立ち上がりから初期peakまで) に影響しなかったが, 20, 30μg/kgでMAP90とDSD (心電図JT時間に相当) を短縮させた (p<0.05~0.01) .胸部下行大動脈縮窄による収縮期血圧180mmHg台までの上昇やトリメタファンによる90mmHgまでの血圧下降はMAP90に影響しなかった.PhenによるMAP90短縮はα1遮断薬ブナゾシンで抑制された.Ito抑制薬4-アミノピリジンやKATPチャネル遮断薬グリベンクラミド前投与後のPhen投与はMAP90を短縮させたが (p<0.1~0.05) , Ik抑制薬ニフェカラント前投与後のPhen投与はMAP90を短縮させなかった.結論: 生体位心における強力なα作用は再分極相を短縮させる, この短縮作用は血圧上昇によるものではなくα受容体刺激による.強力なα作用による再分極短縮はIk促進と関連する可能性がある.