心電図
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貫壁性不応期の不均一性と致死性心室性不整脈
渡辺 則和小林 洋一丹野 郁佐久間 浩子三好 史人三上 慶乃勝又 亮河村 光晴劉 俊昌安達 太郎宮田 彰中川 陽之片桐 敬
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2003 年 23 巻 2 号 p. 213-222

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抄録

【目的】動物実験で貫壁性の心筋の不応期不均一性 (transmural dispersion of repolarization: TDR) の増大がphase 3のバラツキによりリエントリーを促し, torsade de pointes (Tdp) などの心室頻拍と関連すると報告されたが, 臨床では不明である.そこでTDRと心室性不整脈 (VT) の関係を検討した.【方法】対象は非持続性心室頻拍, 持続性心室頻拍, 心室細動, または基礎心疾患をもち原因不明の失神発作を有する65例.コントロール (C) は, 顕性WPW症候群を除く発作性上室性頻拍を認めた65例を用いた.記録速度100mm/secで心電図を12誘導同時記録し, 前胸部誘導でT波の頂点から終末までの差をTpTeとした.【結果】EPSの心室頻拍誘発の有無で検討した場合, V4TpTe/√RRでは, 誘発群 (n=37) が非誘発群 (n=25) , C群 (118.9±26.1 vs 103.9±25.7, 104.1±22.6 msec, p<0.05) に比べ有意に延長した.次に観察期間中VT発生群 (n=13) とVT非発生群 (n=49) に分け検討した (平均観察期間747日) .VT発生群のV3TpTe/√RRがVT非発生群およびC群に比べ, 有意に延長した (132.5±37.4 vs 109.8±26.3, 107.4±24.1 msec, p<0.05) .【結語】TDRは心室頻拍誘発時・経過観察時の心室性不整脈発生予測因子となる可能性が示唆された.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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