心電図
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12誘導心電図から急性心筋梗塞を早期診断しえたDDIペーシングの1例
泉 礼司末綱 竜士山本 誠一赤阪 隆史吉田 清
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2003 年 23 巻 4 号 p. 344-349

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抄録

心筋梗塞の早期診断に標準12誘導心電図は必要不可欠である.しかし, 左脚ブロック例や心室ペーシング例では, 中隔ベクトルが通常と逆方向へ向かうため異常Q波を生じず, 加えて二次的なST-T変化をもきたすため, 心電図からでは心筋梗塞の診断は容易ではない.しかし, DDIペーシング中の心電図にもかかわらず, 急性心筋梗塞の診断と梗塞責任枝の推定も可能であった1例を経験した.
患者は持続する胸部圧迫感を主訴とする66歳女性.来院時心電図では, 心房心室ペースメーカー調律でI, aVL, V5~6でQRS群 (Rパターン) と同一方向のST上昇を, II, III, aVF, V4ではQRS群 (QSパターン) と同一方向のST下降を認めた.これらの所見より高位側壁梗塞が考えられ, 責任冠動脈は左回旋枝の鈍縁枝 (AHA seg (12) ) と推測され緊急冠動脈造影において同部位の高度狭窄を確認し得た.
右室ペーシング例といえども, わずかでもQRS群と同一方向のST偏位やT波を認めた場合には, 心電図による急性心筋梗塞の診断も可能と考えられる.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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