心電図
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P19CL6細胞の心筋細胞への分化はp38-MAPKを介するGATA4発現に依存する
鄭 明奇内納 智子竹林 聡賀来 俊彦王 岩小野 克重
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2005 年 25 巻 6 号 p. 495-501

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抄録

マウス胎生期癌 (embryonal carcinoma) 糸田胞由来P19CL6細胞はジメチルスルホキシド (dimethyl sulfoxide: DMSO) の刺激によって心筋細胞分化誘導を受け, 自動拍動生を獲得する, また, mitogen-activated protein kinase (MAPK) は心筋細胞分化と形態形成において重要な役割を果たしていることが知られている.本研究ではP19CL6細胞由来分化心筋細胞における膜電流形成にかかわる細胞内シグナル, とりわけMAPKを介するイオンチャネル発現の制御様式を検討した.P19CL6細胞は分化誘導後に過分極誘発内向き電流 (lh) と2種類のCa2+チャネル電流 (lCa.L, lCa.T) を発現し, 89bpmの自動拍動性を示した.分化誘導後の自動拍動とペースメーカーイオンチャネルはP38-MAPKの阻害によって発現が抑制され, 細胞膜電位も未分化P19CL6細胞と同様な状態に保たれた, さらに, 転写因子GATA4の発現も著明に抑制された.一方, 古典的MAPK (ERK1/2, 5) およびJNKの活性抑制下での分化心筋は83~108bpmの自動拍動性を示し, 3種類のペースメーカーイオンチャネルの発現も対照と同程度に観察された.以上より, P19CL6細胞の心筋細胞への分化過程におけるペースメーカーイオンチャネルの発現に非古典的MAPK (p38-MAPK) を介するシグナル経路の関与が示唆された.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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