心電図
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心電図InitialおよびTerminal陰性U波の特徴と成因について
三羽 邦久
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2006 年 26 巻 6 号 p. 810-818

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抄録

【目的】心電図U波の成因, 陰性U波の機序はいまだ不明である.陰性U波は陽性U波との前後関係からInitialおよびTerminal U inversionに分類される.臨床的特徴から成因を推論した.【方法】左前下行枝攣縮異型狭心症21例 (VL) にカルシウム拮抗薬投与下で寒冷昇圧試験 (CP) を行い, 陰性U波の出現頻度を観察した.また, 陰性U波のみられる高血圧患者10例 (HT) では急性または慢性降圧による陰性U波の変化を観察した.【結果】HTは全例, Initial U inversionであり, 降圧により消失し寒冷昇圧により再出現した.ドップラー法によりInitial U inversion出現時に左室拡張能異常がみられた.VLは発作中全例でTerminal U inversionが観察されたが, CPでは9例 (43%) と高率にInitial U inversionが出現した, 【総括】Terminal U inversionは, 虚血によるM細胞内層の活動電位持続時間の短縮が外層より著明であるとのM細胞説で説明可能である.一方, 高血圧患者や心筋虚血後の昇圧時にみられるlnitial Uinversionは, 左室拡張障害に伴う心尖部付近のストレッチを介して生ずる心室筋後電位由来として説明可能である.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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