心電図
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6.心房粗動に対する効果
中里 祐二安田 正之
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2007 年 27 巻 1 号 p. 45-52

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抄録
心房粗動 (AFL) 84例に対するベプリジルの有効性を検討した.平均経過観察期間23ヵ月で発作性AFL49例中34例 (69%) において発作の消失もしくは頻度50%以上の改善がみられた.一方, 持続性AFL35例では治療開始後平均1.7カ月で26例 (74%) が除粗動され, そのうち22例 (85%) では平均19ヵ月の経過観察期間中に発作の予防が可能であった.心電図変化ではQT時間が0.38±0.05秒から0.42±0.05秒へと有意な延長を認めた (p<0.01) .粗動周期の延長を認めたが有意ではなく, QRS幅延長や, 2度以上の房室ブロックの出現はみられなかった.副作用として, めまい, 洞徐脈各1例, torsades de pointes (TdP) 2例が認められた, TdPの誘因はいずれの症例も低K血症と潜在的洞機能不全による徐脈であった.ベプリジルは発作性・持続性心房粗動に対し有効である.ただしQT延長作用を有するためTdPの発生には常に注意が必要である.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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