2007 年 27 巻 Suppl4 号 p. 42-46
心室細動 (VF) を繰り返すBrugada症候群に対して, 既報の投与量よりかなり少量のキニジンが有効であった2例を経験した.【症例1】24歳男性, 平成12年4月深夜, 飲酒後に意識消失があった.入院後V1, V2でcoved型ST上昇とVFを認め, Brugada症候群と診断, 植込み型除細動器 (ICD) 植込みを行った, 同年5月下旬より深夜にVFを頻回に認めたため, キニジン200mg/日 (1×眠前) の投与を開始した, 平成13年1月, 2月にVFを認め, キニジン300mgへ増量後はVFは発生していない.【症例2】25歳男性.平成14年10月深夜に意識消失し, 入院.V1, V2でcoved型ST上昇を認めたため, Brugada症候群と診断, ICD植込みを行った, 平成15年1月と3月にVFによりlCDが作動したため, キニジン200mg/日 (1×夕) の投与を開始した.以後安定していたが, 平成18年6月28日22時, VFによるICD作動を認めた, この日はキニジンを内服していなかった.少量のキニジンがVF抑制に有効であると考えた.