抄録
摘出した家兎の右心房標本を用い, 頻拍性不整脈の発生に果す結節間伝導路の役割を検討した。結節間伝導路切断前後でアセチルコリンまたは高カリウム投与下にて期外刺激を行うと14例中11例に10拍以上続く頻拍の発生をみた。このうち切断前に頻拍の発生をみなかった11例中8例では前または後結節間伝導路の一方のみを切断することにより440±100.3beats/minの頻拍をみた。これらの標本では心房自由壁を切断してもその頻拍は停止せず, 健側伝導路の切断により頻拍は停止した。また14例中残りの3例では結節間伝導路切断前に540±158.8beats/minの頻拍がみられ, これらの標本では前または後結節間伝導路の一方のみを切断することにより頻拍は容易に停止した。これら3例では, 洞調律時に結節間伝導路の一方に軽度の伝導遅延, すなわち機能的傷害の存在が確認された。以上よりここでみられた頻拍はリエントリーにより生じ, 結節間伝導路がその回路の一部をなしていると考えられた。