抄録
膜電位感受性色素メロサイアニン・ローダニン色素 (Dye XVIIやNK2761) を用い, 旋回性頻拍につき検討した。蛙心房のリング状標本の異なる8ヵ所より興奮波を光学的に同時記録を行い, Ca2+free液下で活動電位持続時間を短縮するためアセチルコリン (Ach) を用いた。その結果比較的低濃度Ach (10-10~10-9g/ml) で標本の約60%に頻拍を生じさせ得た。頻拍を発生させる要素には1) 持続時間が適当に短縮すること2) 特に近接領域に持続時間の不均一が生じること3) これらの領域に期外刺激を与えることが重要であった。発生した頻拍の初期はbeat間隔の不規則が目立ち, 以後その不規則は消失した。自発的に停止する場合突然であるが, その前にbeat間隔の動揺を示す場合であった。期外刺激で停止する場合, 先行周期の47~78%の間に刺激が与えられた時であった。