心電図
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A型WPW症候群に急性心筋梗塞と一過性の完全房室ブロックを合併した1例
川口 浩福田 圭介仁位 隆信河野 知記広木 忠行荒川 規矩男
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1984 年 4 巻 3 号 p. 351-357

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抄録
WPW症候群では副伝導路の存在により房室ブロックは生じにくいと考えられるが, A型WPW症候群に急性心筋梗塞を合併し, 第6病日に一過性の完全房室ブロックを認めた稀な1例である。症例は70歳女性で10年前よりWPW症候群・高血圧で通院中であった。約4時間に及ぶ左前胸部痛を主訴として来院。血沈の亢進, 心筋逸脱酵素の上昇より急性心筋梗塞と診断し入院となる。心電図ではA型WPW症候群の所見に加えてIII・aVFにST上昇III誘導にS波。胸部誘導でST低下を認め, さらにS波の増強, 冠性T波が出現しAjmaline静注後のデルタ波消失時にはIII・aVFに異常Q波を認めた。第6病日に完全房室ブロックが出現し, 一時ペーシングを余儀なくされたが, その補充収縮はQRS幅0.16secの左脚プロック型を呈していた。心エコー図, 心筋シンチグラムにて前壁中隔・下壁の心筋梗塞が示唆され, 冠動脈造影ではLAD, RCAに有意の狭窄を認め陳旧性前壁中隔梗塞に急性下壁梗塞が加わったと判断した。
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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