Verapamil (V.) 静注前後でおのおの異なった電気生理学的反応パターンを示した房室結節リエントリー性頻拍の4例を経験し, V.の順行性fast pathway (FP) , slow pathway (SP) , および逆行性室房伝導路 (VACS) に及ぼす効果につき検討した。
すなわち各例にてV.前後で房室伝導曲線の不連続性, echo zoneの出現様相, および発作性上室性頻拍 (PSVT) の持続能に差異を認めた。V.は順行性FP, SPに対して伝導を抑制し, VACSに対しては3例で抑制効果を示したが, 1例ではPSVT中のH-HRA時間でみる限り変化を生じなかった。PSVTの持続能はV後3例で消失し, 主な抑制部位は2例で順行路, 1例で逆行路と考えられたが, 他の1例では逆に持続能は充進した。
各例でV.経口投与によるPSVTの発生に対する臨床効果を長期的に観察したところ, 3例は有効, 1例は無効であったが, これらの効果は電気生理学的検査に基づく評価と一致した。
さらに本論文ではdual pathwaysの診断上の問題点やVACSの特異性についても考察を加えた。
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