心電図
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12誘導心電図で診断困難な陳旧性下壁梗塞の体表面電位図とベクトル心電図
太田 壽城大杉 順一平井 真理木下 淳外山 淳治山田 和生
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1985 年 5 巻 3 号 p. 327-333

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抄録

本研究の目的は12誘導心電図で診断困難な陳旧性下壁梗塞例が体表面電位図あるいはベクトル心電図でどの程度診断可能かを検討する事である。12誘導心電図aVFに幅0.02秒以上0.04秒未満, 深さR波の1/4未満のQ波を示す43例を対象とし, これらの症例を心臓カテーテル検査所見等に基づいて梗塞群 (24例) と非梗塞群 (19例) に分けた。梗塞群の体表面電位図ではQRS開始後10~20msecにかけて極小が左背部から背部下方, あるいは背部下方から右胸部下方へと動くのが特徴的であった。一方, 非梗塞群では極小は同じ時期に背部から右胸部上方, あるいは左前胸部から背部下方へと移動した。QRS開始後10msecと20msec時の極小の位置に基づく電位図の下壁梗塞診断基準を設定するとsensitivityは83%, specificityは95%であった。一方, YoungとWilliamsのベクトル心電図診断基準ではsensitivityは79%, specificityは26%であった。

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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