心電図
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Verapamilの有効性を認めた2種類の心室性頻脈性不整脈を有する洞不全症候群の1例
仁禮 隆清水 陽一高山 泰雄伊藤 幸義阿部 光樹田中 寿英松田 三和上田 英雄孫崎 信久大西 哲笠貫 宏広沢 弘七郎
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1985 年 5 巻 3 号 p. 391-397

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抄録

心室性頻脈性不整脈に対してverapamilが有効であるという報告は少い。我々は洞不全症候群を有し, 臨床電気生理学的検査により誘発された心室性頻拍 (VT) に対しverapamilが有効でかつその慢性経口投与が心室性頻脈性不整脈の予防に有効と考えられた症例を経験したので報告する。
48歳男, 明らかな基礎心疾患を認めない。心電図上洞性徐脈, 洞停止, 接合部性補充調律, 心室性期外収縮, 心室粗動, slow VTがみられた。臨床電気生理学的検査ではQRS波形と心拍数の異る2種類のVTが誘発され, verapami1は両者に対して予防効果を認めた。洞結節回復時間は2, 060 msecでverapamil投与後さらに延長したためVVIのペースメーカーを植込み, さらにverapamil 320mg/日を服用させ, 以後1年間頻脈発作を認めない。この予防効果はペースメーカーによる徐脈予防およびverapamilによるものと考えられるが, VTに対するverapamilの慢性経口投与の有効性が示唆された。

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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