心電図
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労作狭心症における運動負荷時一過性にみられる陰性U波の臨床的意義
山本 真千子傅 隆泰飯沼 宏之相沢 忠範高橋 宣光加藤 和三麻野井 英次
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1985 年 5 巻 3 号 p. 383-389

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抄録

運動負荷時出現する陰性U波の臨床的意義について検討するために, 冠動脈造影にて確認された労作狭心症76例を対象としてトレッドミル運動負荷試験を施行した。その結果, 陰性U波は狭心症群の32.9%に出現し, これらはすべて主要冠動脈枝の1本以上に90%以上の機能的ないし機質的内腔狭窄を有していた。その罹患冠動脈枝により, 左冠動脈前下行枝では広くV2-6誘導に, 左冠動脈回旋枝・右冠動脈ではII, III, aVfおよびU4-6誘導にと出現誘導に差がみられた。また, ST上昇例中陰性U波は85%に出現した。以上, 労作狭心症において運動負荷時に出現する陰性U波は90%以上の冠動脈狭窄を背景に形成される低灌流領域を反映する誘導に出現し, ST上昇を伴う場合およびST下降を伴う場合を問わず, 局所心筋における貫壁性虚血の心電図徴候であり, 重症狭心症のSignであると結論された。

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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