抄録
基本刺激として, 心房・心室同時刺激を用いた心房期外刺激 (AE-AVSP) 法が房室伝導に与える影響および心室期外刺激 (VE-AVSP) 法が室房伝導に与える影響につき, それぞれ通常の心房期外刺激法および心室期外刺激法による場合と比較検討した.
結果: (1) 房室伝導: AE-AVSP法により, His-Purkinje系 (HPS) 伝導正常の9例および軽度のHPS伝導障害の4例の計13例全例で房室結節の伝導改善をみた.より高度のHPS伝導障害を有する他の4例では, ほとんどそれがみられず, 房室結節伝導時間の改善度は前者が後者に比し有意に大であった. (2) 室房伝導: VE-AVSP法により, HPS伝導正常の5例および軽度のHPS伝導障害の4例の計9例中8例で, 室房伝導の改善をみた.より高度のHPS伝導障害を有する他の2例でも室房伝導の改善をみたが, その程度は軽度であった.
以上の結果は, 房室結節不応期のpeeling back現象により説明可能であると考えられた.