心電図
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連続切片法で副束の位置を確認したWPW症候群の3剖検例
坂口 泰弘小西 登日浅 義雄村田 吉郎籠島 忠石川 兵衞寺柿 政和韋 晴明小林 清亮岡田 了三
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1987 年 7 巻 1 号 p. 7-15

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抄録
WPW心電図波形をもつ3剖検心の連続切片法による組織学的検討により, 全例に一本ずつ副束の存在を確認した.
症例1は66歳, 男性で, B型WPW波形にQRS左軸偏位を合併した前, 側後壁梗塞を伴う高血圧性心肥大であり, 右心室前壁に斜めに走行するKent束一本を証明した.Δ波は副束の位置とよく相関したが, 左軸偏位は左脚前放線支配域での虚血との関連が推測された.
症例2は17歳, 女性でB型WPW波形を示すEbstein奇形であり, 右心室後側壁にKent束一本がみられた.Δ波の形は副束の位置で理解されるが, QRS波形は異常高位をとる調節東経由の逆行性右脚伝導による修飾が考えられた.
症例3は68歳, 男性でA・B中間型WPW波型に一過性に左軸偏位と不完全右脚ブロック型のQRS波形を示す高血圧および心筋炎による肥大心で, 中隔右側後方にKent東一本が発見された.中隔右側の早期興奮波が, 中隔の左側の左脚後放線を右側よりも早く興奮させると一過性にQRS波形が変わる可能性が示唆された.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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