心電図
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心電図R-R間隔CVからみた洞徐脈における自律神経トーヌスについて
武者 春樹村山 正博伊藤 博之小野 彰一板井 勉
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1987 年 7 巻 5 号 p. 643-646

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抄録

夜間の洞徐脈における心電図R-R間隔変動係数 (CV) をホルター心電図により測定し, 加齢, 運動およびβ遮断剤の徐脈に対する自律神経トーヌスを検討した.対象は, A) 高齢者群: 60歳以上の健常人8名, B) 若年者群: 35歳以下の健常人8名, C) 運動選手群: 長距離走選手8名, D) プロプラノロール服用群: 高血圧症にてプロプラノロール服用者8名であり, 日常生活におけるホルター心電図を記録し, A) ~D) で夜間の心拍数50拍/分以下の徐脈時およびA) , B) で非徐脈時のCVを測定した.徐脈時のCVは, A) 2.32±0.96%, B) 5.21±1.14%, C) 7.34±1.86%, D) 2.17±0.79%で, A) とB) , C) およびD) とB) , C) 間に有意差を認めた.非徐脈時のCVは, A) 2.34±0.81%, B) 4.19±1.10%であり, A) では徐脈時と等しく, B) では徐脈時に比し, 低い傾向であった.高齢者における夜間洞徐脈は, 若年者および運動選手とは異なり, 副交感神経要因は少なく, 交感神経トーヌスの低下によると推定された.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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