心電図
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心筋梗塞後心室性不整脈に対するmexiletineの効果
―慢性心表面マッピング電極埋め込み覚醒犬モデルを用いた経時的検討―
池川 徹横塚 仁桜井 謙治三田村 秀雄小川 聡中村 芳郎
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1987 年 7 巻 5 号 p. 647-653

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抄録

心筋梗塞治癒過程において虚血心筋の電気生理学的特性が経時的に変化する.それに伴ってmexiletine (M) の電気生理学的作用が経時的に変化するか否かを検討するために, 雑種成犬12頭に心外膜マッピング用近接双極電極を装着し, 左冠動脈前下行枝を閉塞し心筋梗塞を作成した.経時的に, M投与前後における電気生理学的計測を行った.なお亜急性期 (冠閉塞1週) 以降の計測は無麻酔覚醒下で行った.心筋梗塞後, 右室ペーシングにおける心表面興奮伝播様式は経時的に変化し, Mの効果も異なった.梗塞部における心表面興奮伝播速度は梗塞作成後1時間後と1週後においてM投与により有意に低下した.Mにより右室有効不応期の有意な延長がみられた.心室頻拍誘発性に対する効果にも経時的に変化がみられた.以上より心筋梗塞治癒過程における心筋の電気生理学的特性の経時的変化に伴い, Mの作用機転が異なる可能性が示唆された.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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